小さなこと

 が嬉しくて生きているんだよ、人間はさ。昨日ナナコは友達にチョットした、気持ちだけのプレゼントをしたくて、故郷にある工芸会館にいった。なに、墓参りのついでだよ。実家の母と久しぶりに会い懐かしくつい長話。そこへ着くのが五時頃になってしまった。当然、さよならの音楽がなっているし、、扉は閉まっている。しかし、ナナコはあきらめない。走っていって、ドアをあけ、「すみません、ちょっとだけいいですか、すぐ済みますから。」流石、美人と人の好さで知られたわが故郷。お店の人はニッコりと笑って許してくれた。だから、大急ぎで、ドア付近で買い物をすませた。というか、もう灯りがおとされていたので、深く探索することはできなかったのだよ。嬉しかったのは、世知辛い世の中なのに、こころよく、入れてくれた人情だよ。今日その時買った飴玉をたった、一つぶずつだが、愛するわがサークルの方々に配らせていただいたら、お一人の方がわざわざ「この飴、どこので、何の飴ですか?」と聞きにきてくれたことだよ。ナナコは鈍いのじゃなくて、その瞬間は顔には、出さないが、飴ひとつの愛について「あー届いた」と思うとあとでジワッとくるのだよ。今日はそれが妙にうれしかったのさ。  「母へのプレゼント  デイケアの仲間と  なめてね」  ナナコ  ニャン。