(絞め殺しの木)の話

 イヤー春だね。今日ナナコは、奥さんが午後から仕事を休んだ旦那さんと、多摩六都科学館へ行くと言うので、又またついていった。新宿線花小金井駅で落ちあい、ランチしてテクテク歩く。桜がいっぱーい。コブシもいっぱーい。桃源郷だね。今この科学館では、特別企画展で、「東大農場、演習林の生き物たち」をやっているんだよ。昔はサイロもあって、奥さんの子供たちはよくその辺で遊んだんだけどね。今はサイロもなくなり、もうじき、ポプラ並木も古くなり危険ということで、切っちゃうらしいんだよ。寂しいね。さて、次に上の階にあがり、大型映像で「生き物がたり」というのを見た。自分が、宇宙船にのっているみたいで地球からずりおちそうになりナナコはスッカリ気持ち悪くなってしまったさ。その映像の中でね、熱帯の植物で「絞め殺しの木」というのをやっていた。太い木に少しずつ蔦みたいな木が巻きついていってやがて相手の木を絞め殺してしまうんだよ。どうだい怖いだろう?でも所詮ここは弱肉強食、持ちつもたれつの世界。みな知恵を使い必死で生きぬいているんだよね。  「食われたものが  所詮いつか  食われるんだよね」  ナナコ  ニャン。