華々しい文通人生だった。昔だけど。

 百年も前だから、許されるよね、別に単なる文通だし、会っているわけでもない、学生だったんだよ、ナナコは。いくつか披露しちゃおうかなー、広いところでは、おフランスざます。ニコル君だったな。相手が実はニコルさんで、女の名前だったんだねーこれが。ニコルちゃんはアタシが女だったんで、「あたくし日本のオトコとシタイ」ってことで、他を紹介して、終り。つぎ、韓国人男性、兵隊のカッコイイ写真送ってきたなー。これも互いの英語力がなくじき自然消滅。次、神奈川の男の子。天文が好きで、星見ながら、アタシ達は、レモン、メロンと呼びあっちゃった。我ながら、よくやるよね、アッ文通文通、手紙の中でだよ。これもまあ、じきみて、終わり。次、気がかりなのが、北海道の。。。俊二君。ナゼかナナコはほら、ペンネームのサトル君で通しちゃった。「僕ネーとか俺はさ、」とか言っちゃってね。そのうちナナコ自分が女であること言えなくなっちゃってさ。まあ、嘘ついたままっていうのが一つだけ心残りさ。文学青年、いや、高校生だったんだけれどもね。俊君どうしてる。カッコイイ中年やっているかい?
「バカなことも  わかいときは  やったような」  ナナコ  ニャン。